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芳賀つつみ人形製造所―300年の伝統を守り続ける「堤人形」の世界
2025/12/27
宮城県 - 仙台市
工房
300年の伝統を守り続ける「堤人形」の世界 ― 芳賀つつみ人形製造所

仙台市青葉区の堤町に、江戸時代から300年以上にわたり伝統を守り続ける工房があります。
芳賀つつみ人形製造所、現在13代目となる芳賀強さんが、先祖から受け継いだ技と心を大切に守り続けています。
堤人形の歴史と特徴
堤人形は、仙台藩四代藩主・伊達綱村の時代に、江戸の陶工・上村万右衛門が招かれて洗練された形に改良されました。
文化・文政年間(1804~1830年)には、京都の伏見人形とともに土人形の二大源流と称され、岩手の花巻人形や福島の三春人形にも影響を与えた名品です。
堤人形の大きな特徴は、鮮やかな「赤色」です。かつては輸入染料の「蘇芳(すおう)」を使って染め上げていました。
現在は色持ちのいい顔料を使用していますが、鮮やかな赤を印象的に使う技巧は今も継承されています。

浮世絵人形で全国に名を馳せた
堤人形の名を全国に知らしめたのが、江戸時代に盛んに作られた浮世絵風の人形です。
浮世絵に描かれた歌舞伎や力士、遊女などの様子を表現した人形で、その姿はまるで生きているかのよう。仙台藩出身で横綱になった「谷風」、若々しく力強い歌舞伎役者を表した「滝登り」、美しい遊女をモチーフにした「猫引花魁」など、流行を敏感にとらえた人形が次々に生み出されました。
興味深いことに、谷風が横綱になった1791年6月の翌年、1792年4月には堤町で谷風の人形が売り出されたという記録が残っています。テレビもインターネットもない江戸時代において、驚きのスピード感です。
完全受注生産による妥協のない品質
現当主の芳賀強さんは、30代で家業を受け継いだ後、大改革に打って出ました。
デパートや土産物店への卸を一切やめ、完全受注生産に切り替えたのです。
「若いころ、出来上がった人形を持ってお客さんのところに行ったんですが、次第に包みをあけた瞬間に人形の良し悪しが分かるようになるんですよ。
それを分かっていながら、良くない人形をお客さんに渡してくるのがたまらなくイヤでね」
そんな強さんの人形に魅了され、注文はひっきりなし。一つの人形を入手するために数年待つのは当たり前、お雛さまの5段飾りを揃えるために、十数年待つ人もいるそうです。
一人で担う繊細な工程

芳賀さんは、型抜きから素焼き、そして彩色まで、多岐に渡る工程を一人で担っています。
中でも特に細心の注意を払うのが「彩色」です。細かい部分まで一つひとつ手作業で、5回以上色を重ね塗りすることで、なめらかな質感を出しています。
細やかな模様を一筆一筆手書きし、素朴な表情を描き出す技は、まさに職人技です。
毎年秋から冬にかけては、翌年の干支をかたどった人形づくりが最盛期を迎えます。
天に昇る龍のように機運が上昇するようにとの思いを込めて、一つひとつ丁寧に仕上げられる堤人形は、まさに心を和ませる芸術品です。 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/902594?display=1
伝統を守りながら、時代とともに
「堤人形はたしかに伝統工芸品ですが、伝統だからと言ってそのままやってたんじゃ、だめ。 着物の柄ひとつ、人形の顔色ひとつとっても、時代時代に合ったやり方があるんです。死ぬまで一人前にはなれないと思いますね」
芳賀さんのこの言葉には、伝統を守りながらも、常に時代とともに歩み続ける職人の姿勢が表れています。
店舗情報
店舗名
芳賀堤人形製造所
住所
〒981-0912 宮城県仙台市青葉区堤町3−30−10
営業時間
月・火・水・木・金・土
09:00 〜 18:00
定休日
日曜日、祝日(※不定休)
支払い方法
現金
